ライブトレーニングを受講される前に
ライブトレーニングを受講される前に、事前に練習課題の目的、その方法を確認し、理解しておくことはとても重要です。
なぜなら、ライブトレーニングで行うそれぞれの練習課題と、特にその実行の順序は、効率的、効果的にハーレーや大型バイクを操るテクニックを身につけるために、互いに関連しているからなのです。
3つのテクニック
『ライド・ライク・ア・プロ』のすべてのトレーニングに共通に使われるもの・・・
それが、この“3つのテクニック”です。
- フリクション・ゾーンのクラッチ操作
- 適切なリアブレーキの使用
- 頭と目を進行方向に向ける
すでにあなたは聞いたことがあるかもしれないテクニックですが、これらを「知っている」ことと「できる」ことは全く異なります。
そして、ライブトレーニングの目的は、あなたに“3つのテクニック”を身につけてもらうことであり、それがあなたをアマチュアとプロの分かれ目となるのです。
エクササイズガイド
ライブトレーニングで実際に行うエクササイズの数々をご紹介します。
もし、あなたがこのような練習を行うのがはじめてでも心配はご無用です!
トレーナーから詳細な練習方法が説明されるとともに、やり方をイメージしやすいようにデモンストレーション走行をご覧いただきます。
トレーニング内容
1.低速走行
この練習の目的は、フリクション・ゾーンを使って、低速ライディングに慣れることです。
フリクション・ゾーンとは、クラッチが繋がり車体が動き出す地点から、完全に繋がる地点までのクラッチ操作の帯域のことを言い、これは日本で使われるクラッチが完全につながっても切れてもいない状態「半クラッチ」という表現とはニュアンスが違います。
ここでは、フリクション・ゾーン内においてクラッチを使って、時速2~7km程度の速度調整・変更を自在にできる方法を身に付けます。
この時、アクセルを開けてエンジン回転数を若干高め一定にして、リアブレーキをわずかに引きずり車体を安定させること、頭と目を進行方向に向けて、目線は遠方におき車体のバランスを保つこと、つまり“3つのテクニック”を身に付ける効果的な練習なのです。
2.低速ストレートスラローム)
約4m程度の間隔で直線上に6~12個程度セットされパイロンコーンの間を、車体を左右にスイングさせながら通り抜ける練習です。
走行中は、フリクション・ゾーンおよびリアブレーキを使い、また目線を高く遠くに置くことにより、ここでも“3つのテクニック”を覚えながら、一定の速度でリズミカルかつスムーズに通り抜けられることを目的とします。
3.旋回走行
この練習は、車体を傾ける限界を知ることに加え、傾けることによる転倒の恐怖克服に役立ちます。
概ね7〜8mの直径円形に置かれた数個のパイロンコーンの内側に、前輪を沿わせるように旋回します。
この時、目線を前輪方向の地面に向けるのではなく、少なくとも120度回転した先から、できれば円の対面の180度先に向けること、また意識して目線を地面から1.2〜1.5m上の空中に向けておくこと、決して地面に目線を向けないようにします。
ここでも、フリクション・ゾーンを保ち、リアブレーキを少し引きずり使用します。
徐々車体を傾けていくことで回転円直径を小さくしていき、最終的にはステアリングをフルロックまでもっていきます。
4.オフセットスラローム
この練習は、素早くかつ自在に左右に車体の向きを変えることを目的とするため、実際の走行では咄嗟に現れる予期せぬ障害物を回避するのに役立つでしょう。
この練習では、左右二本の平行な直線上に等間隔でオフセットされて置かれたパイロンコーンの間を、左右に縫うように走ります。
ポイントは、コーンの周りを旋回するときには、早めに頭と目を次の進行方向のコーンに向けていくようにするとともに、1.5〜1.8m程度パイロンから離れてターンを開始するようにします。
ここでも、フリクション・ゾーンを使い、フロントブレーキは使わず、リアブレーキを一定に引きずり、目線を地面から上げるようにします。
5.Uターン
Uターンの秘訣は、決して進行方向以外に視線を向けないことです。
もしあなたが右にUターンしたければ、できるだけスペースの左側に前論を通過さながらUターンを開始させ、そこから可能な限り頭と目を回転させ、肩越しに目線をUターン方向に向けます。
たとえ一瞬でも、別の方向に目を向けてしまうと、Uターンの軌道を外れ大回りになり、曲がりきれなくなってしまうので注意が必要です。
6.交差点走行
交差点状に四方に広がるスペースそれぞれで、正確に、素早くUターンを繰り返し行う練習です。
Uターン練習同様、できるだけ前輪をスペースの端に持って行き、素早くリズミカルに頭と目をターン方向に切り換えて行きます。
そして、交差点に沿って、次のUターンに向かって別方向に90度向きを変える際には、交差点角から60〜90cm内側に走行ラインを取るようにします。
7.8の字走行
8の字走行をこなすには、ここまでに学んだテクニック全てを駆使することになり、言い換えれば、8の字走行が思うようにできれば、“3つのテクニック”をマスターしたと言っても良いでしょう。
旋回走行同様、パイロンコーンの内側に前輪を沿わせるように旋回、目線を120度回転した先から、円の対面の180度先に向けること、視線を地面から1.2〜1.5m上の空中に向け、決して地面に視線を向けないようにします。
ポイントは、円形に並べたパイロンコーンからフロントタイヤが離れないよう、沿わせるように旋回します。
8.カウンターステアリング
時速25km以上の中速域で、カウンターステアリングを使って曲がる方法を学びます。
特にハーレーやクルーザーバイクなどの重量車には有効な方法です。
直線上に置かれた9m間隔のパイロンを、低速ストレートスラローム同様の要領で通り抜けます。
速度は時速25〜32km程度に保ち、2速または3速ギアを使います。
目の前のパイロンを見るのではなく、目線を高く遠くに置きながら、カウンターステアリングを使ってリズミカルに走行します。
9.ブレーキング
最も重要な練習の一つは、緊急時の制動技術の習得が挙げられます。
速度にかかわらず、いつでも止まれることができれば、安全にライディングすることができるからです。
時速25km程度ではじめ、慣れてきたら時速30〜35km程度に速度を上げていきます。
ブレーキはフロント、リアの両方を同時に使いますが、制動能力の70%以上はフロントブレーキにあるため、フロントブレーキをより使うことを意識します。
頭と目は手前地面を見ないように、進行方向先にあげること、またもしフロント及びリアブレーキがロックした場合の回避方法を学びます。